Statement

私は作品制作において、再生をテーマとしています。
自然界を表す動植物や、人間社会を象徴するノイズや人工物が混成する世界を描いています。水彩画や写真、テクスチャをコラージュしていくことで、あらゆる事物が大きな潮流の中で渾然一体となり循環していく様を表現しています。

現代社会における基盤構造の発展により、膨大な知識や技術、経験が国境を越えて広く伝搬し、情報の共有はますます加速しています。同時に、過多な情報が事実を覆い隠し、物事を熟思する力を蝕んでいるようにも感じます。
水面に浮かぶ油膜を掬うような表層的な行為だけでは、必ずしも本質には辿り着き得ないと私は考えます。

物事は常に流動的です。同一性を保ち得ないということは、つまり生と死を繰り返しているという意味でもあります。文化や歴史、価値観とはその土地や生活を背景に生まれるものですが、その集合知の表出は、死や消失だけではなく次の生へ継承されてこそ成り立ち得るものです。
情報社会においても、提供過多による近眼的な消費は一方的な消失の側面しか持ち得ず、大局的な創造へと結実しません。

死は再生を以てこそ意味を持ち、その繰り返しこそが救済であると私は考えます。
私は、あらゆるものは衰亡と再生のプロセスの中にあると考え、その過程に価値を見出しています。その真価が見え辛くなりがちな現代において、自らが為すべきことが何かを考え作品を制作しています。

2021年1月28日